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日本母乳哺育学会について

日本母乳哺育学会理事長あいさつ

日本母乳哺育学会理事長あいさつ

昭和大学医学部小児科学講座 教授  水野克己

平成30年9月より日本母乳哺育学会理事長に就任いたしました水野克己でございます。
まず、日本母乳哺育学会の今後を考えるためにもこれまでの過去をさかのぼって考えてみたいと思います。当時東京大学小児科学教授であった小林登先生が1986年に日本母乳哺育研究会として立ち上げられたのが第一歩でございます。海外でも母乳や授乳を科学する学会:International Society for Research in Human Milk and Lactation (ISHRML)が1984年に開催されており、欧米と日本でほぼ同時期に母乳哺育にかかわる学会が設立されたことになります。

小林先生が本学会を設立した目的は、“母乳哺育を重視する医療者の中には、母乳哺育を狂信的に推進させようという動きもあって、基礎医学に基づいた、かつ、人間の営みとしての母乳哺育の在り方を広く探ること”ということです。そう考えると、30年の月日を経て、いまだに多くの問題は解決されていないように感じています。昨今は、母乳育児をあまり押し付けないように、母親を追い詰めないように・・という流れになっており、また、液体ミルクを災害時以外でも普及させようという活動も散見されております。

母乳育児は哺乳動物である人において“Norm”であり、特別なことではないはずです。しかし、現状では公的な場所で授乳することは非常識ととらえられたり、子育てをしている様子や授乳をしている様子を間近で見る機会も減ったりしており、母乳育児は特殊なものになっているのかもしれません。

医療従事者であればだれもが“母親は自分が出産した児を母乳で育てるのがベストである”と考えるはずです。医療従事者が母親の母乳育児に対する思いをナラティブの形で受け止め、そのうえで基礎医学に基づいた母乳育児支援を提供するのがベストだと考えています。母乳・授乳に関する基礎医学を研究し、その結果を母乳育児に活用し、今後の母乳哺育に役立つ知見を得ること、そして社会にひろめることで最終的に母親が望む母乳育児につながっていく・・そのような学会に発展させていきたいと思います。

これまで本学会の理事長は、小林登先生、牛島廣治先生、板橋家頭夫先生とすべて小児科医でございます。こどもの健やかな成長発達を見守る立場から、我が国の母乳哺育を発展させていきたいと思います。一人でも多くの方に会員になっていただき、皆様と力をあわせて、こどもたちの未来に母乳哺育研究を通してかかわっていただきたいと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。